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旅ができないかわりに

ようやく梅雨が明けて、毎日が夏空です。
しかし日常といえば
だらだらと流れる汗をぬぐいながら
変わり映えしない雑事に追われるのみ…。
友だちはフジロックだ!沖縄だ!ロシアだ!と旅に出ているというのに!
こうなったら心の旅に出るしかない!!と
久しぶりにどっさりと図書館で本を借りる。
(ああ、書いていてちょっと虚しいぞ)

そのうちの1冊、『ざらざら』川上弘美著。
大半がクウネルの連載短編小説、なので読んだことのある作品もいくつかあって
自分の好きな話しは、もういちど読んでも好きだった。
どうしようもなく好きなのは『月火水木金土日』。
靴箱の上においた、あけびで編んだ蔓の籠が
とつぜん持ち主に話しかけます。
おばさんの声で、それも日常的に
「雨が降るからしみない靴にしなさい」とか
「そんな小さいパンツだとおなかが冷えるよ」とかね。
かごおばさんが日々、アドバイスするって奇想天外。
なのに、そんなありえんシチュエーションなのに、
ぽろぽろと泣いてしまった。
かまってくれる籠おばさんが
かまってくる母親とかぶって。
かまわれるのはありがたいけど、うるさくも感じてしまう。
その気持ちをつんつんとつくのだ。
すごいな、こんな妄想チックな話しやのに、リアルに共鳴するって。

クウネル購買理由のひとつが(それも大きくてゆるぎない理由)
川上弘美さんの小説読みたさ。
クウネルでいうならば4ページ。
4ページきりなのに、あっという間に小説の世界にさらわれてしまう。
波打ち際で遊んでたら、いつのまにか高波にさらわれてた、みたいな。

『同行二人』
『椰子の実』
『草色の便箋、草色の封筒』…
好きな作品がいっぱい。
心の中の「そこか〜〜」をついてくる。
これからもずっとずっとつづけてほしい連載です。(orange99)
by ichinichisya | 2007-07-27 23:42 | 本のはなし


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