久々に読破する喜びを感じました。
三島由紀夫『豊饒の海(一) 春の雪』。
三島由紀夫作品自体が久しぶり。
『オーラの泉』で三輪さんの話を聞くたび、読みたい衝動にかられていました。
読んだらとても満ち足りて、生涯出会うべき大切な人と巡り会えた気分です。
『春の雪』は、無駄なく隙なく、美しい言葉が幾重にも連なり、息苦しいほど。
数行を読むのに何度も読み返し、言葉を調べることも多々。
もどかしさ、まどろっこしさを感じるけれど、
それが19歳の青年そのもの、大正という時代をそのまま物語るように思えて、
かみしめかみしめ、読みました。
悲恋で結ぶ物語は思えばシンプルなものだけれど、
とても緻密で抜かりがなく、花園に迷い込んだようだった。
豊饒の海最終話を書き終えて三島由紀夫は死に向かいました。
二巻より先、より過酷で難解になりそうな予感がしますが、
時間がかかっても読むしかない。
現代小説も大好きだけど、あの軽やかさ、読みやすさと無縁な
あの世界にまた溺れたくて、実は今からうずうずしています。(orange99)