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木津温泉の、ちいさな湯宿

木津温泉の、ちいさな湯宿_f0045982_1519174.jpg丹後半島にある木津温泉まで行ってきました。桜と菜の花に彩られた、小さくてのどかな町。山間にぽつんと駅があって、温泉郷にありがちなおみやげ屋さんもなく、たんぽぽの綿毛を手にして小学生が歩いてたり、あまりにも昔のまんまに素朴で、なんだかうるうるしました。木津温泉は、地下15mも掘れば温泉が湧き出し、京都で唯一源泉かけ流しを貫く、由緒正しい温泉です。皮膚病に効くと長年親しまれてきたそうで、昭和30〜40年頃はあせもの子どもたちを連れて(あせもって、懐かしい…。ちびっこの頃、湯上がりにタルカムパウダーはたいてもらってた気がする)、アトピーでも安心で、お湯そのものに惹かれて訪れる人ばかりだそう。評判通り、本当にお湯がまろやかで、肌にふわふわやわらかかった! うーん、まさに隠れた名湯です。

木津温泉の、ちいさな湯宿_f0045982_15551456.jpg訪れた湯宿『ゑびすや』さんは、大正レトロなたたずまい。アールを描いた窓枠や通路、はめ込まれたステンドグラス、タイル張りの洗面台。昭和5年築の旧館からあしらいはそのまま、アールデコやアールヌーヴォを意識したモダンな内装がおもしろくて、なんとなく尾道三部作を思い出しました。タイムトリップする感覚というか。昭和40年代には松本清張が2ヶ月逗留し、このあたりを舞台にした小説『Dの複合』を執筆したそうです。愛用していたという書斎がまたとても良くて! 窓越しに二人掛けのカウンターがあって、振り向けば本のつまった書棚。こういう空間がある建物って本当に贅沢だと思う。時間を気にせずここで読書に耽れたら…、本好きにとっては至福の時間だろうな。カニに必死で温泉はあくまでおまけな旅が主流のようですが、慌ただしくてあんがい休まらないというか。ここなら、せかせかな毎日から自分を切り離して、体を休ませてあげられる気がします。(orange99)
by ichinichisya | 2007-04-08 16:22 | 旅のはなし


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