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地中美術館

直島のことが好きすぎて
なかなか書き出すことができませんでした。
会う人会う人には頼まれずとも話しているというのに…
書くとなると手が止まる。
それくらいまだ興奮がおさまらずです。

とにかく圧倒されたのが
オープンして1年半となる、地中美術館。
雑誌で情報は得ていたものの、どうも無機質な感じがして
正直言うとさほど期待していなかったのです。
ところが!…こんな美術館ははじめて。衝撃的でした。

美術館は普通、先に建物があってそこにどんなふうに
アート(収蔵品)を並べて見せていくか、ですよね。
ところがここは、まず作品ありきで美術館が作られました。
展示作品は、モネ、デ・マリア、タレルという3名の作家のもの、
作家と話し合い建築を手掛けたのは安藤忠雄です。
部屋の広さ、建築素材、光の取り入れ方…すべてが作品に合わせてできている。
だからこそ美術館そのものがひとつのアートとして成立しています。
一歩入って、外に出るまで
そのあいだすべてがアートを体感する時間。
そこで何を感じるかは、自分次第。
一期一会という言葉が本当にふさわしい場所です。

この日のわたしは…
デ・マリア→タレル→モネの順にめぐりました。
はじめての場所、建築に緊張感を覚えて感性が鋭くなり
最後にすべてから解放されるように感情があふれ出しました。
タレルもかなり興奮してはしゃぎましたが
一番心を奪われたのは、意外なことにモネ!でした。

もう何度もモネは観てきたし、なんでモネ?くらいの気持ちだったのに。
真っ白な空間に睡蓮を観た時、涙が出ました。
白い漆喰の壁、丸く磨かれた大理石のブロックが敷き詰められて
差し込む光は自然光だけ。
それはモネが実際に睡蓮を描いた庭と同じです。
このモネはここでしか観られないモネ。
今まで観たなかで一番、素晴らしいモネでした。

雨模様だったこの日のお天気、心の状態や体調…
訪ねるたび、きっと感じることが違うだろうと思います。
たとえるなら、石庭でしょうか。
次回は、どんなふうに心が動くか、楽しみでなりません。
(orange99)
地中美術館_f0045982_23202017.jpg

by ichinichisya | 2006-02-03 23:20 | 旅のはなし


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