先日、
兵庫県立美術館で
河口龍夫 -見えないものと見えるもの-を見てきました。
見えないもの・・時間の経過や記憶など、
いろいろな見えないものを見えるように表現した展示がされていたのですが、
一番面白かったのは暗闇のドローイング。
これはご本人が真っ暗闇で、頭の中のイメージをドローイングしたものを、
同じく真っ暗闇の空間に展示されているのをペンライトひとつで見る、というもの。
暗闇の中、殴り書きのような大量のドローイングを見つづけていると、
「はて、このドローイングはいつまで続くんだろう?」と
暗闇にいるのがだんだん怖くなってくる。
ものが見えないって、こんなに怖いものなんだ、というのが
身をもって体験できる展示なのです。
私は何とか出口がわかって出られたけど、出口がわからず何周もしてる人はいるはず!
それから真っ暗闇の中、たった一人でデスクに向かって
画用紙にドローイングする体験もあるのでやってみることに。
こちらのほうは、すっごく楽しくて、
「う~ん、とりあえず、みかんでも描いてみるか」ってみかんを描くと
今度はみかんの木を描いてみたくなり、それから空、雲、太陽・・って
どんどん頭に沸いてくるイメージを描き続けることの楽しさったら!
暗闇で絵を描くって、こんなにストレス発散になるんや、とか思いながら外に出て
実際に描いたものを見たら、「なにこれ~(笑)」な出来。
そりゃそうだ、見えないんだもの。
でも見えないことで、じわりじわりとにじり寄るような恐怖感を体感したり、
そうかと思えば、型から抜け出せたような楽しさを味わえたり、
こんなに違いが出るって、知らなかったなぁ。
こういう「見える」「見えない」の関係性を追求しているアーティストなんだそうです。
この企画は、名古屋市美術館と同時開催しているものだそうで、
名古屋では別の視点で企画された作品が見られるそう。
同時期に同じアーティストの作品を、違う視点で捉えた企画をするなんて、
こんな試みも珍しいですね。
兵庫県立美術館は~12月16日(日)まで、名古屋市美術館は~24日(月/祝)まで。
(klokken)