ふたたび巡り合う、博士の愛した数式

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子供の頃から数学的に物事を考えるのが苦手です。
そのためか『博士の愛した数式』を読んだとき(例の如く図書館で)
まわりが言うほど、数式に心地よく溺れることができませんでした。
映画は小泉尭史監督と聞いて、見に行きました。
小泉監督作『雨あがる』『阿弥陀堂だより』は、特別に好きな作品だから。
でもですね、ちょと違ってたんです。本から感じた世界と。
十人十色、原作と映画で感じることが違うのは仕方のないことですが。

本は、家政婦さんが博士のことを語っていきます。
彼女が数式の美しさに目覚め、はっきりと言葉にしなくとも
博士のことをだんだん愛していくことを感じました。
家族愛でもあるけど、それは恋だったと思う。
映画は、家政婦の息子ルート(√)が語り部です。
数学教師となった彼が、博士との暮らしを回想しながら
学生に数式を解説していきます。素数、友愛数、虚数…。
数式に鈍感な人にもわかりやすいよう黒板に書いて。
描かれるのは、家族愛、博士に対する尊敬、そして
博士の恋は隣家で見守る義姉との結びつきに落ち着きます。

映画は何もかもがはっきりと明るみに出ていてとても健全だった。
本は春の霞のようにぼんやり感じたのに。
家政婦の静かで深い、博士への愛も本ほど感じることができなかった。
もやもやを抱えて、とうとう文庫本を買いました。
不思議なことに前回読んだ時、身構えた数式を美しい詩のように感じる。
歌うようになめらかに、お話しが心の中にすべりおちてくる。
合わないと感じていた作品と、こんなふうにふたたび巡り合うこともあるのですね。
まだ読み始め、なんだか新たに感じることがありそうです。
(orange99)
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by ichinichisya | 2006-02-18 13:56 | 本のはなし


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